No. 009

下肢静脈瘤を治療する手術方法はどのようなものがあるの?

下肢静脈瘤を治療する手術方法はどのようなものがあるの?

下肢静脈瘤の手術の目的は静脈の逆流をとめること

まず、下肢静脈瘤はなぜできるのかを理解しないと、治療法も理解できません。典型的な下肢静脈瘤は静脈の弁が壊れて血液が逆流することでできます。そうすると治療は、この逆流を止めることが大切になります。

逆流を止めるためにどうするか、まず、壊れた弁ごとダメになってふくらんでしまった血管を取ってしまう方法がわかりやすいです。これがストリッピング手術という、血管を引っこ抜く手術です。ストリッピング(stripping)というのは「引っこ抜く」という意味です。従来はこの方法しかなく、100年間以上ずっと行われてきた治療で、外科医の入門手術として、「アッペ、ヘルニア、ヘモ、バリックス」と言われる手術がありました。このうちの「バリックス(varix:静脈瘤)」が、このストリッピング手術に当たります。しかし、昨今、腹腔鏡のカメラの手術が発展するにつれ、「アッペ(虫垂切除)」や「ヘルニア(そけいヘルニア手術)」も外科医1年目の手術ではなくなり、高度化してしまいました。今、残っているのは「ヘモ(痔の手術)」くらいでしょうか。なお、ストリッピング手術は、痛みが強く、メスで皮膚を切らなければいけないなど侵襲も大きいため、現在では推奨されていません。アメリカの大きな静脈学会では、次に述べるレーザー手術を推奨しています。下肢静脈瘤もレーザー手術になってからは高度専門化しています。

もう一つの逆流を止める方法が、前述のレーザー治療です。正確には、「血管内焼灼術」、あるいは、「血管内レーザー手術」と言われるものです。これは注射のように皮膚に針を刺すだけの治療なので、痛みもありませんし、侵襲も小さいです。現在の下肢静脈瘤治療の主流になっています。弁の壊れた血管内にファイバーを入れ、血管内からレーザーを照射し、約600℃もの高温で血管を焼いて収縮させ、逆流を止めてしまう方法です。焼いてしまった血管は収縮し、最後は糸のように吸収されていきます。実際、半年もするとエコーで見えなくなります。患者さんは、手術したわけでもないのに、血管がなくなるということに不思議がられます。

下肢静脈瘤は焼いたり抜いたりしても問題ない?

ところで、血管を抜いたり、焼いたりしていいのか?という素朴な疑問ですが、人間は実は深い所の骨のそばにある太い静脈(深部静脈)さえあれば足の循環は事足りるのです。そして、静脈や毛細血管のネットワークが無数にあるので、今まで壊れた血管に流入していた血液は、深部静脈に新しく入るようになり、循環は正常化していきます。いっそのこと、下肢静脈瘤になる表面にある血管(伏在静脈)を無くしてしまえばいいのでしょうが、深部静脈が血栓で詰まった時などのバイパスになるので、重要になるときもあります。よって深部静脈に血栓のある方は、下肢静脈瘤の治療ができません。

あとはラジオ波の治療もあります。これは高周波を用い約100℃くらいの熱でじっくり血管を焼く治療です。レーザー治療と大差ありませんが、7cmずつ20秒間焼くので、血管が曲がりくねって蛇行の強い症例には行えないことと、デバイス(ファイバー)が高価であることが難点です。

手術方法は以上ですが、従来は、「高位結紮+硬化療法」という手術もよくおこなわれていました。ももの付け根の静脈だけ結紮といって結んでしまい、あとは硬化剤を入れて固める治療で、一時は流行病のように皆に行ったものですが、現在、この治療は絶対に再発するとわかっています。しかし、田舎の病院などでいまだにこの方法が行われていますので、注意が必要です。下肢静脈瘤は、「エルベス1470」という最新の保険適応レーザーがあり、12,000例以上など経験豊富な血管外科医が常勤しているクリニックで是非受けてください。

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監修医師紹介

百川文健医師
横浜静脈瘤クリニック
百川 文健医師
保有資格
日本外科学会 外科専門医日本脈管学会 脈管専門医 / 下肢静脈瘤 血管内焼灼術指導医
経歴
2006年弘前大学医学部医学科卒業
2007年東京慈恵会医科大学付属病院初期研修
2009年東京慈恵会医科大学柏病院外科勤務
2010年厚木市立病院外科勤務
2011年春日部市中央総合病院外科勤務
2012年東京慈恵会医科大学柏病院外科、血管外科勤務
2014年東京慈恵会医科大学付属病院外科、血管外科勤務
2015年厚木市立病院外科、血管外科勤務
2017年埼玉循環器呼吸器病センター血管外科勤務
2020年横浜静脈瘤クリニック 院長

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