No. 012

硬化療法の薬剤の安全性と副作用についてお伝えします

No.012 硬化療法の薬剤の安全性と副作用についてお伝えします

硬化療法の安全性と副作用について

硬化療法で使う薬剤は、商品名ポリドカスクレロール(一般名ポリドカノール)というお薬です。静脈瘤の大きさに応じ、0.5%、1%、3%という濃度を使用します。保険適応されており、安全性も確認されています。今までに重篤な副作用もありません。基本的に皮膚から透けて見えるような、とても浅い位置にある血管に対してのみ注射しますので、全身に大きな副作用は起こしえません。あるとすれば、近くにある皮膚のしみ、色素沈着くらいです。しみは既にしみがたくさんあるようなしみ体質の方には、強く出る傾向があります。ですから、硬化療法は多少しみになってもいいので、ボコボコ血管を平らにしたいといった方にお勧めする治療法です。

硬化療法は偶然発見されました!

ポリドカスクレロールはもともと麻酔薬として開発されました。そして、痔の手術の麻酔薬として使用した際、誤って痔に流入してしまったことがありました。その際、痔を固めて治してしまったことから、下肢静脈瘤の治療にも応用されるようになったという偶然がもたらしたようなお薬です。なお、痔は肛門の静脈瘤です。

圧迫が緩いと注射部位のしこりが大きくなり、静脈瘤の中に血栓ができることがありますが、その血栓が肺に飛ぶようなことは100%ありませんのでご安心ください。半年もすれば次第にしこりは消えていきますが、しみは長く残ることがあります。この注射後のしみがなかなか消えないこともありますので、硬化療法の副作用と言えば、このしみくらいでしょうか。

硬化療法の安全性は高い

なお、この一般名ポリドカノールですが、別の商品名エトキシスクレロールという名前で食道静脈瘤という内臓静脈瘤の治療にも使用されます。中身は全く同じです。肝硬変の人は門脈という静脈の血流が悪くなり、圧が高まるのでバイパスとして食道の周りにある細かい血管に静脈瘤を作ります。この食道静脈瘤が破裂すると、止血できず死んでしまうので、事前に破裂しないように内視鏡でこの静脈瘤に注射をし固めます。その際、圧迫はS-Bチューブという特殊な管で行います。
このように足よりも敏感な内臓に注射できるくらいですから、その薬剤安全性は高いです。

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監修医師紹介

百川文健医師
横浜静脈瘤クリニック
百川 文健医師
保有資格
日本外科学会 外科専門医日本脈管学会 脈管専門医 / 下肢静脈瘤 血管内焼灼術指導医
経歴
2006年弘前大学医学部医学科卒業
2007年東京慈恵会医科大学付属病院初期研修
2009年東京慈恵会医科大学柏病院外科勤務
2010年厚木市立病院外科勤務
2011年春日部市中央総合病院外科勤務
2012年東京慈恵会医科大学柏病院外科、血管外科勤務
2014年東京慈恵会医科大学付属病院外科、血管外科勤務
2015年厚木市立病院外科、血管外科勤務
2017年埼玉循環器呼吸器病センター血管外科勤務
2020年横浜静脈瘤クリニック 院長