No. 017

下肢静脈瘤は運動することで予防・改善は可能?

No.017 下肢静脈瘤は運動することで予防・改善は可能?

一度できた下肢静脈瘤は自然には治らない

下肢静脈瘤は静脈の弁が壊れて、血液が逆流することで、ボコボコな血管ができる病気です。残念ながら一度壊れてしまった弁は元には戻りません。ですから一度、下肢静脈瘤になってしまったら、何もせず放置しておけば、徐々に進行していくことになります。

例外もある?

ただ一つ例外があります。それは妊婦さんの下肢静脈瘤です。妊娠中は血液量も多くなり、お腹の負荷も大きいので、ももの付け根の大切な弁に逆流も起きやすく、下肢静脈瘤にもなりやすいです。しかし、この逆流が、血管が広がったことで弁が合わさらなくなり、弁尖の隙間から漏れているだけで生じている場合があります。この場合、弁は壊れていないので、出産後には血管が小さくなり、また弁尖が自然と合わさるようになります。これで妊娠中にあった血液の逆流も、産後は自然と止まってしまうのです。まるでレーザーで逆流を止めたような現象がごく自然に起きてしまうのです。ですから、妊娠中の下肢静脈瘤は治療せず、やってもストッキングで圧迫するくらいで、産後は産褥3カ月くらいまではほとんどの場合で経過観察していただきます。ほとんどの妊婦さんはこれで下肢静脈瘤が治ってしまうのです。

下肢静脈瘤は運動で予防や改善できるの?

さて、妊婦さんの話が長くなりましたが、本題は、下肢静脈瘤は運動で予防改善できるかでしたね。結論から言うと、予防や現状維持はできますが、改善は無理、ということになります。一旦ふくらんでしまったボコボコ血管の改善はなかなか難しいのですが、症状の改善は可能です。

まず、静脈という血管は、動脈のように送り出す圧(血圧)がなく、逆に立っていると静水圧という押し戻す圧が逆にかかっている状態です。ですから静脈に逆流防止の弁がなければ、静脈の血液は足首に向かって溜まってしまいます。これが下肢静脈瘤のむくみの原因です。また、弁だけあっても血液は重力に逆らって上っていけません。外から押し戻す力が必要です。チューブに入ったアイスを吸うとき、外から指でチューブをつぶした方がいっぱいアイスを食べられますよね。あの原理です。ふくらはぎでその役割を果たしているのが腓腹筋をはじめとした筋肉です。これを筋肉ポンプ作用といいます。前回、つま先立ちや貧乏ゆすりがいいと言ったのは、この筋肉ポンプ作用を増強してくれるからです。昨年、一番売れた本が「ふくらはぎをもめば健康になる。」という本らしいですが、これも筋肉ポンプ作用を増強し、静脈の還流がよくなります。

弾性ストッキングも手助けになる?

もう一つ筋肉ポンプ作用を増強してくれる大きな要因としては、医療用のストッキングがあります。きちんとした効果を出すためには2つのポイントがあります。まずは圧力です。ストッキング圧は市販のものはレベル1といって弱圧で、筋肉ポンプ作用を増強するには弱く、主に軽いむくみを取るためのものですが、当院で扱っている医療用のストッキングはレベル2といって、足首圧がきちんとあるものです。もう一つ大切なのが、段階圧です。足首を100%の圧力とすると、ふくらはぎで80%、太ももで50%と圧が逃げる構造になっています。そうでないと筋肉ポンプ作用は増強されず、静脈の血液も上に上がっていきません。筋肉を支持する目的のサポーターは均一圧なので、その下の部位にむくみが来ます。
結論ですが、下肢静脈瘤は医療用のきちんとしたストッキングを着用して運動することで、予防と症状の改善ができますが、ボコボコ血管は現状維持ということになります。

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監修医師紹介

百川文健医師
横浜静脈瘤クリニック
百川 文健医師
保有資格
日本外科学会 外科専門医日本脈管学会 脈管専門医 / 下肢静脈瘤 血管内焼灼術指導医
経歴
2006年弘前大学医学部医学科卒業
2007年東京慈恵会医科大学付属病院初期研修
2009年東京慈恵会医科大学柏病院外科勤務
2010年厚木市立病院外科勤務
2011年春日部市中央総合病院外科勤務
2012年東京慈恵会医科大学柏病院外科、血管外科勤務
2014年東京慈恵会医科大学付属病院外科、血管外科勤務
2015年厚木市立病院外科、血管外科勤務
2017年埼玉循環器呼吸器病センター血管外科勤務
2020年横浜静脈瘤クリニック 院長

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