No. 019

下肢静脈瘤を瞬間接着剤で低侵襲に治療するグルー治療

グルー治療とは

「グルー治療」とは“医療用の”瞬間接接着剤を用いて病的な血管を処理する治療方法です。2011年にまず欧州で、CEマークを取得。米国では2015年に承認されており、2019年12月に日本でも保険適応になりました。

グルー治療では、下肢静脈瘤の根本原因である壊れた大伏在静脈や小伏在静脈に、カテーテルを介してグルー(医療用の瞬間接着剤)を注入し血管内を瞬時に閉塞させることで病的な逆流を消滅させます。
それにより血行が正常化して静脈瘤が消えていくのです。

グルー治療の特長

広範囲の局所麻酔が不要で治療中に血管内に熱も発生させないので、下肢静脈瘤の低侵襲治療として国際的に普及しているレーザーや高周波を用いた血管内焼灼術よりも、さらに体に負担がかからない次世代治療と言えます。
欧米では、下肢静脈瘤の最先端治療として大変注目されておりこの数年間で急速に普及しています。
グルー治療の特徴として特筆すべきなのは、広範囲の麻酔が不要のため痛みが最小限、治療時間がレーザー治療と同様15分程度、そして手術後の圧迫ストッキングの着用が不要(静脈瘤が大きい場合は1~2日程度着用をお勧める場合もあります)ということです。また、レーザーや高周波のように血管内に熱を発生させないので、神経障害などの合併症の発生頻度や程度がより小さくなります。

グルー治療の
メリット、デメリット

メリット
  • ・TLA麻酔(広範囲の局所麻酔)が不要なので手術時の負担が軽減されます。
  • ・手術後に弾性ストッキングを着用する必要が原則としてありません。
  • ・皮下出血や神経障害のリスクが血管内焼灼術よりも小さくなります。
デメリット
  • ・レーザーや高周波治療に比べて長期成績報告がありません。
  • ・巨大な静脈瘤や蛇行が激しく複雑なタイプの静脈瘤には不向きです。
    ※複雑なタイプの静脈瘤にはレーザー治療が適しています。
  • ・アレルギー発生頻度5~25%

グルー治療の安全性

グルーを用いた治療は、脳動静脈奇形に対する塞栓術としてFDA(米国食品医薬品局)に承認され、1万例を超える実績があります。最近では胃食道静脈瘤に対する血管塞栓材としても国際的に広く用いられ、この治療は日本でも保険適用になっています。
脳や胃食道の血管内治療で問題ない実績が積まれていることから、グルー(NBCA、OCA)を用いた血管塞栓術は下肢静脈瘤の治療にも応用されるようになりました。 現在標準手術である血管内焼灼術と比べて、体に与えるダメージが少ないのに治療効果は同等であると報告されています。
グルー治療で用いられるNBCAやOCAは、無臭無毒、化学的に安定しており、有毒物質を発生することは無く発がん性もありません。

当治療は、今後当院でも導入予定となっております。

参考文献

  • 1. Park I. Initial outcomes of cyanoacrylate closure, VenaSeal system, for the treatment of the incompetent great and small saphenous veins. Vasc Endovascular Surg 2017;51:545e9.
  • 2. Almeida JI, Javier JJ, Mackay EG, et al. Two-year follow-up of first human use of cyanoacrylate adhesive for treatment of saphenous vein incompetence. Phlebology 2015;30:397e404.
  • 3. Proebstle TM, Alm J, Dimitri S, et al. The European multicenter cohort study on cyanoacrylate embolization of refluxing great saphenous veins. J Vasc Surg Venous Lym Dis 2015;3:2e7.
  • 4. Morrison N, Gibson K, McEnroe S, et al. Randomized trial comparing cyanoacrylate embolization and radiofrequency ablation for incompetent great saphenous veins (VeClose). J Vasc Surg 2015;61:985e94.
  • 5. Gibson K, Ferris B. Cyanoacrylate closure of incompetent great, small and accessory saphenous veins without the use of post-procedure compression: initial outcomes of a post-market evaluation of the VenaSeal System (the WAVES Study). Vascular 2017;25:149e56.
  • 6. Chan YC, Law Y, Cheung GC, et al. Cyanoacrylate glue used to treat great saphenous reflux: Measures of outcome. Phlebology 2017;32:99e106.
  • 7. Park I, et al. Clinical Features and Management of "Phlebitis-like Abnormal Reaction" After Cyanoacrylate Closure for the Treatment of Incompetent Saphenous Veins. Ann Vasc Surg 2019;55:239-245

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監修医師紹介

経歴
2005年広島大学医学部卒
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター
2008年りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 心臓血管外科
2010年大阪大学医学部付属病院 心臓血管外科
2011年Helsinki University Hospital Cardiac surgery 研究員
2012年新宿血管外科クリニック
2013年湘南メディカルクリニック大阪院 院長
2015年・11th International Master Course in Phlebology 修了
・ELUM(エルベスレーザーユーザーズミーティング)2015講演
2016年湘南メディカルクリニック横浜院院長 兼 横浜院大阪院統括医師
ELUM2016講演
2017年横浜静脈瘤クリニック に名称変更
横浜静脈瘤クリニック 院長

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