横浜静脈瘤クリニックTOP > 下肢静脈瘤とは > 下肢静脈瘤の原因はどういうのがありますか?
下肢静脈瘤はどうして起こるのでしょうか。多くの患者様が疑問に思われていらっしゃるかもしれません。今回は、下肢静脈瘤を起こす主な原因について、簡単にご説明していきたいと思います。
下肢静脈瘤にはさまざまな原因がありますが、まず一番大きいのが、「遺伝」です。下肢静脈瘤は確実に遺伝します。両親が下肢静脈瘤の場合、子供は90%以上、下肢静脈瘤になってしまうというデーターもあります。よく患者さんにお話しするのは、法事などで親戚が一堂に会した時に、足がボコボコしているおばさん、あるいは下肢静脈瘤で手術したおじさんなどがいたら、あなたにも下肢静脈瘤因子がありますよ、ということです。これは避けられない因子の一つですね。
次に大きな要因が、「妊娠」です。これは女性に下肢静脈瘤が多い大きな要因のひとつになっています。妊娠出産回数が多ければ多いほど、危険は高まります。妊娠中の下肢静脈瘤は、産褥3カ月までに大半は治癒するのですが、まれに3カ月を過ぎても残ってしまう静脈瘤があります。それが、2回目3回目と妊娠することで悪化していくケースがあります。なので、妊娠中の下肢静脈瘤は、とりあえずは出産後3カ月は待ってみて、それでもよくならないようであれば、受診をお勧めします。
あとは、「立ち仕事」。男性の下肢静脈瘤は、ほとんどこれが原因です。長年、長時間従事することで危険度は高まります。男性の下肢静脈瘤のほとんどが、警備員、警官、飲食店(ラーメン屋さんのおやじとか、寿司屋の大将とか、中華料理屋さんとかが多いですね。)美容師さん、理容師さんなどです。立ち仕事の方には、医療用ストッキングの着用をお勧めしています。うちのナースさんも着用していますが、立ち仕事の後の疲れ方が全然違うようです。
あとの要因は小さいですがいろいろあります。まずは、「年齢」。まあこれは年寄りほど立っている時間が長いからだと思われます。あとは、「肥満」。高度肥満になると、妊娠中のように静脈の弁に負荷がかかります。同じような要因で、「便秘」。あまり力みすぎるのもよくないんですね。あとは、「動脈硬化・高脂血症」。どろどろになった血液は、動脈から静脈にも流れますので、動脈硬化になるような血液は弁を壊れやすくします。なお、人種的には、欧米の白人に多い病気で、アフリカ等の黒人には少ない病気です。日本人は黄色人種なのでその中間なのですが、アフリカからアメリカに移住した黒人も、白人並みに下肢静脈瘤に罹患することがわかっています。前述の動脈硬化も関連しているかもしれませんので、日本人も注意が必要です。
なお、最大の危険因子である「遺伝」で面白いお話があります。外来では、母娘を同時に診察する機会も多いのですが、親子は顔だけではなく、静脈の枝ぶり、分枝の仕方なども非常に似ています。このことからも親子では弁の構造や強さ、静脈瘤のでき方もそっくりなのだと思われます。親子は表面的なことだけではなく、内臓も実は似ているんですね。