どちらも保険適応されており、費用負担も同じで、血管内治療という点でも全く同じです。下肢静脈瘤を治療するためには、足の静脈の逆流を止める必要があります。その際に、ラジオ波を使うか、レーザーを使うかという点では異なります。つまり、何で血管を変性させ、逆流を止めるのかが全く異なります。また、その他の最も大きな違いは治療の結果で、術後5年目に比較した治療成功率は、レーザーが95.4%で、ラジオ波が79.9%とレーザー治療がラジオ波治療よりも有意に良好な結果を示したということです。
Journal of Vascular Surgeryという英文誌に2008年に発表された論文(Endovenous therapies of lower extremityvaricosities are at least as effective as surgical stripping or foam sclerotherapy– Meta analysis of randomized trial)を引用。ラジオ波治療は静脈の壁に接触した電極から高周波(ラジオ波)交流電流を発生させ、たんぱくを凝固させる作用で血管壁を破壊し、逆流を止める治療です。現在保険適応されているのは、アメリカのVNUS社のClosureのみです。このカテーテルは先端に7cmの加熱部をもち、20秒間、460kHzで加熱します。
レーザー治療は血管内に挿入したファイバーからレーザーを照射し、静脈壁を焼灼閉鎖するものです。現在、保険適応されている独エルベス社製1470nm波長の機種は、ラディアル2リング・ファイバーが標準装備されており、血管壁を直接360°全周照射できることが特徴です。
麻酔もどちらもTLAという浸潤局所麻酔で、早期の治療成績や痛みなどもほぼ同様です。しかしながら遠隔成績と呼ばれる5年後の成功率に大きな差があるので、当院ではレーザー治療を行っています。他の研究では、ラジオ波の方が深部静脈血栓症(DVT)や術後の神経障害が多かったという報告もあります。
現在のところは、レーザー治療が治療結果も良く、総合的に優位であると思われます。米国の最大の静脈学会でも、下肢静脈瘤治療にはレーザー治療を一番に推奨しています。